シーシャの煙と彼女の「ねー」

シーシャの煙と彼女の「ねー」

「初体験は初恋の人と」

 

それと同じ様に「恋人になる人とは日常生活で出会いたい」というのが一般的です。勿論、僕もその一般的な部類に属していたのですが、その概念を崩す出来事があったのです。

 

「オフ会」

 

なるものが世間にはあります。

 

僕は当時PCも持っておらず、オフにすると言えばやる気スイッチくらいのものでした。

 

そんなモノラルな僕の趣味はシーシャというもの。所謂「水タバコ」です。なんだか違法な雰囲気がモクモクするのですが、そんなことはありません。使うタバコの葉は市販のものです。しかし世はまさに禁煙ブーム。周りを見回しても「まだタバコなんて吸ってるの?」「臭い。高い。身体に悪い。」「よ!高額納税者!」など風当たりの強い意見ばかりで肩身が狭い思いをしていました。ただでさえタバコは敬遠されるのに水タバコなんて、辛いものが苦手という人の誕生日に暴君ハバネロを持っていくようなものです。一人寂しくパイプを吸引する僕がいました。

 

ある日携帯で水タバコサイトを閲覧していたところ「シーシャフェス」なるものが目に飛び込んできました。渋谷の水タバコ専門飲食店で水タバコ愛好家によるフェスがあるという情報。元来、臆病者である僕は「フェス?なんだかカッコイー言い方だなぁ。もっと親近感がある『水煙草同志徒然の会』みたいな古風な名前ならいいのだけども…」フェスと聞くと、きらびやかな外観でミラーボールが燦々と輝き、ドレッドの兄ちゃんがたむろし、首を傾けたDJがSAY-Ho!状態なのではないだろうかと内心行くのを躊躇ったのですが、もしかしたらエロい女の子がいるんではないかという下心が決め手となりフェスに参加するまでに至ったのです。

 

フェス当日。夜の9時の渋谷。一張羅のジャケットを着て右手に水パイプを持ち、補導をされず駅までたどり着きました。今考えれば360゜やばい奴です。しかし気持ちは、むふふ、フェスに行ったらエロい女の子が『あら、素敵なパイプね。あなたのパイプはどうかしら?』なんて事が起きるかもしれない!どーしよう!などと三流エロ雑誌の記事にもならない妄想を膨らまし、いざフェスへ。

 

想像していたよりフェスが開かれている店はこじんまりとしたお店でした。冒険出来なさそうなジャックスパロウ似の店員が僕の持っている水パイプを見るや「お兄さん!私物のパイプと葉っぱの持ち込みは禁止だよ!」とパイプを受け渡すよう促して来ました。それもそのはず、パイプは店に置いてあるし、葉っぱは店のメニューの1つだったです。狭い店内で僕に注目が集まります。僕は必死に冷静を装い「ふ、ふーん。ここはそれがルールなんだ!ア、アムステルダムじゃマイパイプ持参が普通なんだけどね!」と強がりジャックにパイプを預けました。

 

ここで僕はさらなるミスに気付きました。みんなラフな格好をしている!TシャツにGパンを着ており、僕の想像していたフェスと違う!僕の身なりはカンヌ国際映画祭の出演者みたいは格好をしていて最早「浮く」という言葉も真っ青になるくらいの浮遊ぶりを醸してしまいました。

 

落ち着かなくなった僕は水タバコではなく、紙巻きタバコに火を付け店内の片隅に佇む事になりました。優しいオレンジの間接照明。ガラス張りのテーブルが大小6席ほど、店内の客はほとんど三十代から四十代の方たちでした。当時、二十代前半の僕はさらに居たたまれない気分で店内のすみに佇んでいたところ、「ねータバコ一本ちょうだい!」と女性が話し掛けてきました。女性は二十代後半くらいの印象で、紺のトレーナーにタボっとしたダメージジーンズ、コンバースのスニーカーを履いている可愛らしい感じの女性でした。「ねーどっから来たの?」その女性は話に入る前に「ねー」というのが口癖で、人懐っこい印象を受けました。

 

その後一緒に水タバコを吸い、水タバコの事やプライベートの事などを話し、店を出る時「ねー連絡先教えてよ!」と言われたのです。結果、その縁で付き合う事になったのですが、彼女はとても活発な女性で喧嘩になると平気で水パイプを僕の頭に振り落としたり、夜中に大音量でボブ・マーリーを流したり、蛍の墓を見てわんわん泣いたりとなかなかユニークな女性でした。彼女は付き合っていて飽きない女性でしたし、僕は彼女の事が好きでした。だけど彼女は間もなく30歳という節目を迎えようとしていました。彼女は年上だったし強がるところがあったのであまり言ってこなかったのですが、その日電話で結婚観について真剣に聞いてきました。僕は「今は結婚する気はないよ。」と言いました。色々理由があったのですがはっきりと彼女に伝えました。

 

「ねー別れよ」

 

彼女と付き合って2年。沢山の「ねー」を受け取りました。

 

「ねーご飯行こう!」

 

「ねー散歩しよ!」

 

「ねー抱っこ!」

 

「ねー好きだよ」

 

いつもその「ねー」に助けられたり、イライラしたり、癒されたり、大事に思っていた事を痛感しました。最後の「ねー」はとても悲しい「ねー」でした。

 

彼女と別れてもう6年が経ちます。彼女はどこかで「ねー」って言ってるんだろうななんてたまに思い出します。

 

(東京都 三十代 男性 自営業)

関連ページ

クリスマスだけの割り切りの体の関係
去年までいた彼氏とは別れてしまって、何年かぶりに1人でクリスマスを迎えるかと思うと、悲しくてどうにかなりそうです。そこでセフレを探す出会い系でクリスマスを一緒に過ごせる人を探しました。
ひびいろいろな出会い系サイトの妄想などを考えております。
最近の妄想ではありますが、いろいろな考えてることがありました。 それが、プロレスラー専門の出会い系サイトであります。
アソコの大きな女性とPCMAXで知り合う事が出来セフレ関係となる
PCMAXにこんな事を書いて、会ってくれる女性がいるのかなと心配していましたが、一人の女性が声を掛けてくれました。
出会い系で話友達になってくれる女性のセフレ
倦怠期を迎えて妻と話す事が無くなってしまった私は、女性の話友達が欲しくなり、出会い系で話友達となってくれる女性を探し始めました。